メニュー
イベント
マダムおすすめ
マップ&クーポン
シェフの紹介
レストランの紹介
料理教室
お取り寄せギフト
ケータリングサービス
ブライダル
スタッフ募集

マダムのオススメブログ

ジビエに捧ぐ自然の恵みへの感謝のソース

今年もジビエの季節となりました。

ジビエ以前はジビエの解禁は11月15日であったように記憶しておりましたが、昨今はブームなのか今では9月の残暑期から各業者から日本国内産のジビエ、またヨーロッパジビエの入荷のお知らせが入ります。

でもシェフは今でも11月以降にしかジビエは作らないし、また鹿や猪のような四つ足は国産のモノを使用しますが野鳥(二つ足)はヨーロッパのものしか使いません。

11月に入ってからしか作らない理由は、フランス修行時代、ジビエ料理を本場ロワールやブルゴーニュで学んだシェフにとって、ぐっと気温が下がって動物達に程度な脂肪が付いたモノの方が自分の目指す料理には合うという考えがあるからと、二つ足をヨーロッパのモノにこだわるのには、その方が特に自分のソースには合うという強い思いがあるからです。

シェフ曰く、ヨーロッパの野鳥の香りは米などを食べている日本の野鳥と比べると、肉にナッツや柑橘系の香りがしてそちらの方が自分のソースにピッタリ合う。のだそうです。

「香るフランス料理」をモットーにしているシェフにとって、シェフ宮本のジビエは林では無く「森の香り」が必要と言うことなのでしょう。

またジビエは faisandage、フザンダージュ と言う肉を熟成させることに醍醐味があります。

その為、仕入れの段階で大変気を遣うのが狩猟の時の銃弾が当たっている場所です。

場所によって可食部分が大きく損傷してしまったり、また内臓が飛び散ってしまってはフザンタージュの間に臭みが出てしまいます。

ですから、業者さんに集まったジビエの中で少しでも良いモノを自分が仕入れたいと、今頃のフレンチシェフ達は仕入れに力が入っているはずです。

以前知り合いのフランス人シェフの店で、内臓を貫通していた野鳥を持って来た業者さんに対し、「自分を馬鹿にしているのか!これは本場のジビエを知らない他の料理人の店に持って行け!!」 と怒鳴っている場面に遭遇したことがあります。

フランス料理人にとってジビエは格別な食材であり、またソースにこだわりを持った料理人であるなら、そのソースの腕前をお客様に披露出来る格好のシーズンでもあります。

今では日本でもすっかり馴染み深くなった 「ジビエ」 ですが、私にはフランス遊学時代、ホームステイ先のフランスでのパパが教えてくれたジビエが私のジビエの解釈となっています。

私がステイしていたパリの家では毎週末には郊外にある別宅で過ごすのがスタイルでした。

そこでは丁度今頃のシーズンになると敷地内のあちこちに野生のキノコが生えてきて、夕食の付け合わせにするキノコを採るのが週末の私のお手伝いでした。

広大な敷地の中を枯葉の上を歩いてキノコを探していると、時には野生のウサギやウズラが出て来ました。

木立の中は寒いし暗いし、何が飛び出て来るかわからない不安で半分泣きそうな私を見て、その時フランス人のパパがヨーロッパ人にとって自分達の敷地内の野生の食材を採集して食べること、狩猟することの重要性を語ってくれました。

ヨーロッパは長い間、陸続きになっている国土の中で領地を巡って争いをして来ました。詳細な領土の図面などが無かった時代は隣との領土の境界線はすぐに曖昧になってしまいます。

そこで領主は後継ぎの息子が小さいうちから、隣の領土との境界線を教え込む為に狩猟のこの季節に領土の隅ずみまで一緒に巡り歩き、息子に境界線を伝えそれを守ることを伝えたというのです。

そして狩りをすることは領主にとっては、民はもとより自然界の全ての動植物も含めた領土の上に、「君臨する」 と言うメンタルな部分を鍛えることになる。だからヨーロッパでは古くから王侯貴族や領主達は狩猟することを子供の頃から義務とさえされていた。

またその際、採集した野生の動植物を持って帰り家族皆で分かち合い、それらを美味しいと味わうことは、家族の意識の中にもこの美味しい産物を持つ領土を守らなけらばならない、手放してはならないと一致団結する意識が芽生える。ということ。

ジビエだからヨーロッパ人にとってのジビエとは、何を食べるかと言うことよりも、大切なのはどう食べるか、誰と食べるか、などが重要になる。

また自然に生けしモノを仕留めるのであるから、自然への感謝の気持ちを込めて、調理技術が無い家庭でジビエを頂くなら最上のワインを捧げ、またレストランであるならプロの料理人の択一されたソースがジビエには捧げられること。などを教えてくれました。

私にとってヨーロッパのジビエとは、ただ狩猟を楽しんだ結果の獲物のことではなく、ヨーロッパの歴史的な背景の中で培われて来た食材を獲り食すまでの一連の行為そのものだと思っています。

シェフがジビエに最後に捧ぐ自然の恵みへの「感謝のソース」を今年も皆様にご堪能頂ければと思います。

<前   次>